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ANAの気づかい


 

気づかれない気づかいこそ「

 

2019年から2020年の1年間ほぼ毎週、伊丹空港から大分空港まで飛行機を利用して出張していました。

ご承知の通り電車と違って日に数本しか飛んでないし、出発時刻は正確で遅刻厳禁、なるべく余裕をもって出発ロビーに到着できるよう仕事の調整に毎回追われていました。


よく見かけた光景に「〇時〇〇発 〇〇行き 〇便へご搭乗のお客様は〇番出発ゲートへお急ぎください」とスタッフが走ってアナウンスする姿が目に入りました。


ギリギリまで仕事をしてたようなサラリーマンだけでなく、ふだん飛行機を利用されていない年配の方や、抱っこしながら手を引くおかあさん、体の不自由な方や日本語が上手でない外国人、ひろい空港で迷子になって遅れる方が必ずいます。

そんな皆さんの「他の同乗者に迷惑が掛かってはいけない」といった必死の形相が見て伺えました。


必死なのはANAのスタッフも例外ではありません。「お客様に快適な空の旅を」をメッセージに掲げている以上、何とか間に合って頂きたいの気持ちが伝わってきます。通路を小走りにアナウンスを続けます。


そのアナウンスに気付いた乗客は「すみません、すみません、遅れてしまってすみません」と。すると笑顔で「ごあんしんくださいませ、まだ間に合いますから。こちらへどうぞ」と優しく誘導してくれます。

その時は何も気づかなかったのですが、一人で遅れてくるときよりも、スタッフと一緒の方が格段に安心が生まれることに後から気づかされました。私も一度遅れそうになったことがあったからです。


普段起こりえないことが身の上に起こった時、人は不安の渦の中にいます。それを優しく導いてくれる人がいるだけで感謝の気持ちでいっぱいになるはずです。


スタッフの方からすれば、毎日毎日何人もの人が同じように遅れてきたりするわけです。自分に置き換えたら、「またか」とか「はいはい」というような対応をしてしまい、マンネリ化した行動に気付かないまま、そっけない対応してしまうのではないかと思います。


その後しばらくしてこんな本に出合いました。

 

ANAの気づかい

 

5秒さきの未来を想像する」「部下に気づかいするのは時代だからではなく重要だから」「伝えるではなく、伝わる」などのワードが目に飛び込んできました。

正直に言ってこの書籍の中身は、当たり前のことばかりの字面が並んでいるだけといった印象です。章ごとのカテゴリーが多く、一つ一つの項目は3~4ページで構成されている格好ですから、簡単で読みやすくポイントを絞った形式で書かれてるからかもしれません。


しかしそれ自体が、読み手に対する気づかいなのかもしれないと思ったのです。

昔から本を読むときには付箋を貼る癖があります。あとでササっと読み返せるように。


ペタペタ張りました。気になるところは片っ端から。すると結構貼り付けたことに驚きます。後から読み返しても「当たり前のことばかりの字面」と感じていたのですが。ふと思いました。


難しそうなことでもギリギリできそうなこと」や、「今まで気づきもしなかったこと」は参考にしたいと考えがちですが、この「当たり前に感じること」にフォーカスすることは少ないことに気付かせてくれたのです。


それは「当たり前ができているのか」ということ。「できそうでできない」、あるいは「できるけどしない」が多く、そこから目を背けて別の「新しいこと」を探そうと必死になっているのではないかと。


CA「自分が乗務した便では、担当する40~50人の全ての席のお客様の顔、様子を把握するように努力している」といった一文がありました。


把握されているかどうか、飛行機に乗っていて感じたことはありません。じろじろ見られていることもないし話しかけられるわけでもない。

把握する努力をされているかなど知る由もないし、CA側としても、別に努力してもしなくても気付いてもらえないし影響がないかもしれません。それを、こっそりやっているのだとすれば「気づかれない気づかいこそ「」に匹敵すると思いました。

 

まとめ

 

できること」を確認する方法は「やってみる」で判断できます。既に経験したことは感動がなく、新しいことを追いかけるのは楽しいもの。しかし、今一度できることをやってみる行動を起こしたくなった一冊でした。

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