不動産買取り[事故物件編④]
全4回に渡って紹介してきましたが、心理的瑕疵のある不動産を商品物件として買取りする場合、都度お話ししている通り注意すべきPointは、ただの一点です。再販売時に「いくらで売却できるのか」です。
心理的瑕疵
購入したのは、いわゆる「心理的瑕疵物件」に該当する不動産でした。広義の意味では「事故物件」とされるようです。
相続人様からのお話によると、時期は昭和55年で2階の和室にて一酸化炭素中毒によるガス自殺。警察署で確認された結果としては、事件性は認められないとのこと。
現地の確認をさせて頂きましたが、40年以上経過していて現場は綺麗に整理整頓され、痕跡を確認できる状態では全くありませんでした。
相続人様のご意向で、物件を売却することに。仲介業者の担当者からご紹介して頂き、内容を理解した上で購入の検討をさせて頂きました。
物件調査
通常通り物件調査を始めます。調査内容に関しては前回の記事と同様です。
初動調査が一通り終わったら、いつもと同じように試算を行います。「いくらで売れるのか」ここに全力集中します。
お部屋の中には残置物は一切なかったため、現状のままでのお取引とさせて頂きました。その後価格が折り合い買取りの契約へ。
それまでに行ったこと
「土地家屋調査士(測量士)」にて現地の地積測量を依頼
「建築士事務所」へ間取図面の作成依頼 必要書類を送付
「工務店」へ工事費用の見積もり依頼
「建物解体業者」へ工事費用の見積もり依頼
「司法書士」へ移転登記費用見積もり依頼
左図に記載の必要経費を個別に算出します。「土地代金」が一番高額になるため、慎重に価格の算出に努めます。
仲介手数料と税金については、率が決まっているので容易に算出することは可能です。
上下水道の工事費用は既存のものがそのまま使えることが分かったことと、残置物等はないため費用は掛かりません。
予備費には、近隣へのあいさつ時や職人さんへの差し入れ等の雑費をある程度予算組しておきます。案外忘れがちですが、この辺りを行うことでコミュニケーションがとりやすく、追加工事を頼みやすくなったりします。
他の項目は先の見積もりが届いた時点で入力し、土地の購入費用を出します。
こうして土地の購入費用を算出して終わりです。
ポイント
全てメールやFAXなどで行いますから手間暇はそんなにかかることではありませんよ。詳細的なことは多少異なることはあっても、ほとんどの場合同じことの繰り返しです。
建築士と打ち合わせした図面を基に、販売資料として使うために作成中の間取り図面
次に、建てる建物が2階建てか3階建てかを検証します。
今回は木造の3回建で検討しています。2階建てと異なる費用としては構造計算にかかわる費用が増えます。外溝工事費用にも影響する場合が多いですね。
外構工事は建築工事と違って、別の業者が行うこともできます。基本的には建築工事と一括でやってくれる方が安くはなりますが、こだわりがある場合は検討します。
地盤調査も別の工務店以外の業者で行えます。こちらも一括でやってくれる方が安くはなります。ここは重要ですから依頼する業者の選定には注意が必要です。
道路の地中には水道管・下水道管・ガス管等が埋設されているので、宅地内に引込工事を行う場合は道路を掘削したり原状回復するのに費用が掛かります。
何時もお願いしている神主様にお祓いの依頼。地鎮祭も引き続きで行ってくれます。費用はお心添え程度(3万円)これをただの行事とするのではなく、気持ちをもって臨んでいます。
反対の立場ならそうして欲しいと思うからです。こうして建築関係の費用を算出します。
あれ?仲介手数料って2で計上してるのではと思いますが、ここでの仲介手数料は、建築後に再度販売を業者に依頼した場合に計上しておく費用です。もちろん自分でお客様を見つけてきた場合は不要となります。
その他には、ディスプレイ品(椅子・テーブル・ソファ・ベット等)をレンタルする場合はその費用が必要です。
金融機関にて、費用を借り入れる場合はその期間と利率によって利息の支払いが発生します。
こうして全ての費用を算出して合計したものが原価となります。あとは再販売時に「いくらで売却できるのか」を考えてこの計算式に基づき土地の購入価格を割り出します。
今回の物件は事故物件の購入からスタートしているのでご購入者様には正直にかつ丁寧に説明し、理解を得なければならなりません。
まとめ
今回はLIVE形式にて書きました。事故物件を取り扱ううえで注意するべきことは多くはありません。
しかしながら譲っていただいた元の持ち主に心配かけることなく、且つ未来の購入者への配慮も欠かせないことは事実としてありますので、丁寧な対応が望まれることを当たり前として取り組まなければなりませんね。
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