不動産購入で失敗。だから既存の擁壁は信用するな
今回は「住宅を建てるための土地を探すぞー!とか、収益マンションを建てるための土地を探すぞーと考えている方」に絶対確認してほしい「擁壁」について紹介したいと思います。
個人的な見解ですので参考にしていただけたらと思います。
結論
「擁壁そのものが違法状態にある場合」あるいは「擁壁が安全な状態にない場合」地方公共団体の崖条例によって擁壁の上にある不動産だけでなく、下にある不動産についても「再建築ができない」もしくは「困難」な場合がある。
建築制限を受ける
いっぱい時間を掛けて探しに探し回ってようやく出会った不動産。気に入ってしまうと今度は早く「手に入れたい」となるのが人の心情です。わかります。
「他の誰かに先を越されたくない!」って思うその気持ち。
すごくわかるんですが、一旦深く深呼吸をするくらいの余裕は持っておいて欲しいところです。日本は地震国で起伏の厳しい斜面地は多く存在します。
しかも眺望が良かったりすることもあって人気の高い場所が多く存在します。
そもそも斜面に対して垂直に建物は立てられませんので状況次第で「切土」や「盛土」を行って敷地を平たんにする必要があります。
これから「切土」や「盛土」を行う場合は、必要に応じて「擁壁」を新設するので問題はないかと思います。
ですが、今回は既に「切土」や「盛土」が過去に行われた経緯のある土地を検討している場合の注意点です。
つまり「土砂崩れ」が発生する場合のことを考えて、そういった危険性がある場合は「擁壁」を造りなさいということなんです。
「擁壁」って幾らくらいすると思いますか?土地30坪の住宅用敷地で軽く1000万円の見積もりが来たことは何度もあります。 もちろん場所や形状、隣地との兼ね合い、傾斜角度や仕様などで前後しますが、けっして安いものではありません。 |
がけの高さが一定の高さを超える場合、建築物を建築するにあたっては、建築物の安全のために建築物をがけの下端からそのがけの「高さの2倍以上」離さなければならないといった決まりがあります。
但し、擁壁が「しっかり」とした構造物と判断された場合はその限りではありません。この「しっかり」が重要で、物質は年数を経ると風化・劣化・変化します。 また、昔の工法が現行の法規に照らし合わせると不適格となるケースも多く見受けられます。 |
この場合であっても、「ガケ上」の敷地に建築物を建てるなら万一がけ崩れが発生しても家が流れ落ちないように深く基礎杭を打ち込みを行うことで建築が可能となることもあります。
しかし、「ガケ下」は上からの土砂によって建物が壊れたり流されないように土砂を受け止める「防護壁」の築造、あるいは建物の擁壁側の構造自体を鉄筋コンクリ音造として開口部を設けないようにしなくてはならなくなります。
「え~!?マジで?滅茶苦茶建築コスト高くなるんちゃうん?しかも窓付けたらあかんのやったらめちゃ暗いやん」ですよね。しっかり確認が必要という理由、わかっていただけましたでしょうか。
確認方法
失敗しないための方法がありますのでいくつかご紹介しますね。是非参考にしてみてください。「しっかり」とした擁壁かどうかを確認することはメチャクチャ重要な事項だと思いますから。「絶対に損しないでください!」
✅検査済証
現地に擁壁がある場合、その擁壁が工作物として「築造確認」及び「検査済証」を取得している物かどうかを確認します。
役所の「建築指導課」等にて確認し、証明書があれば写しを取得しましょう。そして建築士等にその写しを提出し、相談と判断を仰いでおくことをおすすめします。
注意
証明書があったからというだけで安心はできません。前述したとおり、かなり昔の擁壁であった場合現行の法規に照らし合わせると、既存不適格となる場合があるからです。
✅高低差2m超
現地の地面の高低差が「2mを超えて」いないか。これは擁壁の高さではありませんよ。
垂直に測って2mを超えるかどうかです。もし2mを超えているようであれば地方公共団体の「ガケ条例」を確認しましょう。
ガケと判断されたらよほど広い敷地でない限り擁壁を築造する可能性が高くなります。見積もりの準備が必要ですね。
✅既存の擁壁に「割れ」・「ひび」・「はらんでいる」
もし現地の擁壁にひび・割れだけでなく、横から確認して「膨れ上がっている」ようなはらみを確認したら「安全な状態にない」と考えられます。
外観上に問題がない場合であっても、検査済証や開発許可等で擁壁を築造した旨の証明ができない場合は「違法擁壁」と同様の扱いとなる場合もあります。
✅二段擁壁
既存の擁壁が2段(一体化していない擁壁が積み重なった状態)擁壁になっていないか確認しましょう。2段どころか3段擁壁なども何度も見てきました。
現地を確認することが重要です。このような場合は、側土圧に耐えられないため「即違反」となります。
✅擁壁の材質と水抜き穴
既存の擁壁に使用されている材質が問題となることが非常に多いです。
「玉石」・「大谷石」は構造上非常にもろく崩壊する危険性が高いとされています。
硬固な鉄筋コンクリート造で一見しっかりしているように見えていても、「水抜き穴」な既定の範囲内にない等は水の抜け場がないため非常に危険です。
「こんなに確認するの?」もしくは「確認したよ、でも・・・心配」経験したこともない事をやるのは非常に不安ですよね。 とはいっても「この土地気に入ってる」ということであれば、紹介してくれた仲介会社の担当者や建築士事務所に相談すれば確認してくれますよ。 |
まとめ
私自身も擁壁のある一戸建てに住んでいたことがあります。とっても見晴らしがよく遠くには海が見えていました。 マンションであれば景色の良い高層階で問題ないのですが、マンションに住んだことのない高齢の母親と同居であったので戸建を探しました。 |
「切土」や「盛土」を行った敷地は、人工的に作られたものなので万一の自然災害に弱い
「擁壁」の必要性や重要性を知ることで、ある程度安心を手に入れる事が出来る。
「違反擁壁」の場合、既存の擁壁を取り壊して再度造り直すには高額の費用を必要とする
何でも初めは大変です。見たことも聞いたこともない事を始めてするのは疲れますが、初めだけです。
ず~っとは続かないので最初に確認することをやっていれば快適な生活が待っています。収益物件ならお客様に気に入ってもらえることも増えるでしょう。
番外編
最近読んだ本で、不動産投資に役立つ書籍を発見しましたので参考にどうぞ。
ネタバレはしませんが、内容は割と中級者向けな本です。実際に購入した不動産を具体的に紹介しています。
その工夫の仕方が面白く、無から有ではなく、周辺にあるようなものから、発想ができる人はこうなるんだ的な楽しさがありました。
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